STマイクロのMEMS Studioの使い方解説動画が公開中

STマイクロのMEMS Studioの使い方解説動画が公開中

STマイクロエレクトロニクス社のYoutube公式アカウントに、同社の開発環境であるMEMS Studioを使った開発方法に関する動画が公開されています。

MEMSとは?

MEMSとは「Micro Electro Mechanical Systems(マイクロ電気機械システム)」の略です。簡単に言うと、とても小さな機械部品と電子回路を一つのチップに組み込んだ技術のことです。髪の毛よりも細い部品が動いたり、微小な空間で電気信号を処理したりします。スマートフォンが傾きを感知したり、車のエアバッグが衝撃を検知したりするのも、このMEMS技術のおかげです。

私たちの身の回りには、たくさんのMEMSセンサーが使われています。スマートフォン、スマートウォッチ、ゲーム機器、車、家電製品など、様々な製品に組み込まれ、私たちの生活を便利にしています。

MEMSセンサーで検知できること

MEMSセンサーは様々な変化を検知できる優れた電子部品です。主に以下のようなことを感知できます:

  • 動き・方向: 加速度センサーやジャイロセンサーで歩行、走行、転倒などの動きや向きの変化を検知できます。スマホの画面回転やゲームコントローラーの動きにも使われています。
  • 圧力変化: 気圧センサーで高度変化や天気の変化を検知できます。階数の計測や天気予報にも活用されています。
  • 温度・湿度: 環境センサーで周囲の温度や湿度の変化を検知し、快適な環境制御に役立てられます。
  • 音・振動: マイクロフォンセンサーで音や振動パターンを検知し、音声認識や異常検知に使えます。
  • 光・色: 光センサーで明るさや色の変化を検知し、ディスプレイの明るさ自動調整などに利用されます。

これらのセンサーを組み合わせることで、日常生活のさまざまな動作(歩く、走る、階段を上る、転倒するなど)を正確に識別することができます。

MEMSスタジオとは?

MEMSスタジオは、STが販売している多くのMEMSセンサーに対応した開発ツールです。以前は別々だったUnico-GUIやAlgoBuilderなどの機能を一つにまとめ、さらに機能を拡張した「オールインワン」の開発環境となっています。

できることは?

このソフトウェアを使えば、次のようなことが簡単にできます:

  • センサーの機能評価:数値やグラフでセンサーの動きを確認できます
  • データ分析:取得したデータをグラフ化したり、周波数解析したりできます
  • アプリケーション開発:プログラミングの知識がなくても、ブロックを組み合わせるだけでセンサーを使ったアプリが作れます
  • 機械学習:センサーデータを使った機械学習も可能です

便利な機能がたくさん

MEMSスタジオには、たくさんの便利な機能があります:

  • センサーデータのCSVファイル保存
  • 周波数分析やスペクトログラム表示
  • タップやジェスチャー認識などの内蔵機能の評価
  • 3Dグラフィックス表示
  • プログラミング不要のアルゴリズム作成

簡単にできるAI開発

MEMSスタジオでは、AI機能を開発できます:

  • センサーが検知した動きのパターンから「歩いている」「走っている」「座っている」などを自動で判断する機能が作れます
  • タップやジェスチャーを認識する機能も簡単に設定できます
  • 「もし転倒したら通知する」といった条件付きの動作も、視覚的に組み立てられます
  • データを集めて分析し、最適な設定を自動で提案してくれる機能もあります

これらのAI機能を使えば、フィットネストラッカーや見守りデバイスなど、便利なガジェットの開発が可能になります。

注意点

MEMSスタジオを使用する際は、いくつか注意点があります:

  • 専用の評価ボードが必要です
  • ファームウェアの更新には別途STM32キューブプログラマーのインストールが必要な場合があります
  • 初めて使う場合は、公式ドキュメントを参照することをおすすめします

入手方法

MEMSスタジオのダウンロードや詳細な情報は、ST.COMの公式サイトから入手できます。Windows、macOS、Linuxに対応しており、無料でダウンロードできます。

公式サイト
https://www.st.com/ja/development-tools/mems-studio.html